返済の負担を軽減する他の方法にはどんなものがあるのか

期限の利益回復型では苦しい場合には最終弁済期延長型

期限の利益回復型では、住宅ローンの返済額そのものは変わりません。
そもそも借金自体が、身から出た錆といえる面があるとしても、かなり厳しい再生計画になるということは、想像できるでしょう。

たとえ、住宅ローン以外の無担保の借金は、100万円までに圧縮できたとしても、多くの人にとっては、この条件で返済を継続するのは厳しいと思われます。
そんな場合に利用できる方式として最終弁済期延長型があります。

最終弁済期延長型のしくみ

この方法は、住宅ローンの返済期間を、当初の返済期間よりも最長で10年間延長しようというものです。
再生計画前に、住宅ローンについて不履行部分があれば、それも同じく延長された返済期間の中で返済していくことになります。
これなら期限の利益回復型よりは、返済はかなり楽になりそうですが、返済期間延長型の完済時の債務者の年齢が、70歳以上までという条件がついてきます。

ですから、35歳のときに組んだ住宅ローンが、すでに返済期間35年というものであると、この制度はあまり役に立ちません。
すでに当初の返済期間でさえ、完済時には債務者は70歳になってしまいます。
金融機関が承諾でもしてくれない限り、この最終弁済期延長型は利用できないことになります。

新築マンションを購入する場合などでは、一般的に住宅ローンの最長返済期間は35年となっていることが多いようです。
比較的若い人の中で、当面の負担を軽減するために、この最終弁済期延長型の利用を考えている人がいるかもしれませんが、自分の場合にはこの方法をとることが可能かどうか、契約書など住宅ローン関係の資料をよくチェックして、必ず確認しておきましょう。

最終の手段は元本猶予型

民事再生が定められている住宅ローンに関する特則で、最も返済の負担を軽減する効果が大きいのが、元本猶予型と呼ばれている方式です。
この方法は、再生計画は元本部分の返済を一部猶予してもらって、さらに最終弁済期間を延長してもらいます。

まず、住宅ローンの最終弁済期を最長で10年間延長してもらいます。
もちろん、完済時には債務者の年齢は満70歳未満であること、という制限もあります。
そして、再生計画中(原則3年、最長5年)は、利息の返済の他に、元本部分の返済を一部猶予してもらいます。(元本猶予期間)。
さらに、それまでに住宅ローンに不履行部分があれば、その返済も猶予してもらいます。

実際にどうなるのか

たとえば、年利3%で3000万円の住宅ローンがあるとすると、1か月当たりの負担は7万5000円になります。
そして、元本部分の返済を1万円にしてもらうと、合計で8万5000円ずつ支払っていくことになります。
もともとの元本部分の金額にもよりますが、この方法なら、それまでの返済額に比べても、再生期間中(元本猶予期間中)の月々の返済額は、少なくできるはずです。

住宅資金特別条項の類型

再生計画が終了した後は、住宅ローンの返済は通常の形に戻ります。
住宅ローンの不履行部分の返済も、このときからはじまります。

元本猶予期間は、元本の返済を少なくしてもらっていましたが、再生計画終了後は、元本の返済も元に戻りますから、毎月の住宅ローンの返済額は増えることになります。
さらに、住宅ローンの不履行部分の返済も上乗せされてきますから、増加する返済額はけっこうな金額になるこも予想されます。

しかし、元本猶期間中、つまり再生計画中は、住宅ローン以外の無担保の借金の返済に、かなり専念できるでしょうから、その分がなくなった後は、住宅ローンの返済に専念すればよいことになります。

最後の最後は同意型に賭ける

同意不要型では、この元本猶予型が最後の手段ということになりますから、何とかここまでの3つの方式の中で、解決策を見つけ出したいものです。
しかし、いずれの方法をとっても、住宅ローン以外に借金がある人にとっては、マイホームを守るのは至難の技かもしれません。
収入が安定している会社員でも、不況や業績悪化によって給与が減少したり、転職を余儀なくされたりすることもありますので、再生計画が認可されても銀行に不安が残ることも多いでしょう。

ただ、同意不要型はあくまでも法律で定められている類型であって、債務者と住宅ローン債権者がよく話し合って、前述した類型の枠を超えた同意型の住宅資金特別条項の定めることができれば、それに越したことはありません。

現実には債権者の同意を得るのはかなり難しいといえますが、もし同意が得られるのであれば、元本や利息の一部カット、遅延損害金の免除、債務者の年齢が70歳を超える時点までの最終弁済期の延長などを内容とした住宅資金特別条項を定めることもできるかもしれません。
債権者としても、一見不利なようですが、債務者の状況を考えればこのような内容のほうが履行の可能性が高まり、最終的に有利であると考え、同意することも考えられるでしょう。