特定調停

特定調停は、任意整理のように借金のある貸金業者と個別で交渉していくのではなく、簡易裁判所で調停委員に仲介してもらい、貸金業者と交渉して返済計画をたてるという方法です。

わかりやすく言うと、任意整理に裁判所が入るか入らないか、という違いになります。

特定調停は、経済的に破綻する恐れのある債務者の経済的再生のため、通常の民事調停の特則として設けられた制度です。

特定調停のメリット

  1. 費用がごく安価
    この手続きのメリットは、手続き費用安価であるのに、調停委員が間に立って債権者である貸金業者との示談を図ってくれるという点にあります。
    任意整理では弁護士費用が貸金業者1社につき5万円前後必要なのに対し、特定調停の費用は裁判所によっても違いますが、業者1社につき約8000円程度でできます。

  2. 取引履歴の強制開示が可能
    2つ目のメリットは、取引履歴を教えてくれない業者に対して、簡易裁判所の力で強制的に取引履歴を明らかにさせることができる点にあります(特定調停法第10条、12条、24条)。
    弁護士に依頼した場合には、たいていの貸金業者は最終的には取引履歴を開示してくれます。
    ただ、弁護士が要求しても、過払いまではいかなくとも、利息制限法に引き直すと大幅に減額され、借金はほとんど消えてしまうような事案では業者から厳しい抵抗にあいます。
    ましてや、本人が独力で貸金業者と交渉しようとするときには、貸金業者にとっては不利となり得る取引履歴を簡単には開示してくれません。
    そうしたときは、この特定調停ならば、取引履歴を明らかにしてしてもらって、きちんと利息制限法に引き直して残高が一体どれだなのかを確定させることができます。

特定調停のデメリット

  1. 手間がかかる
    特定調停は、多数の債権者を相手に裁判所の助力を得ながら、本人が独力で、利息制限法に引き直した適正な残金での返済計画を立てられるというメリットがあります。
    しかし、特定調停では裁判所が関与するので、ある程度の期間内に(1ヵ月1回の話し合いで少なくとも2~3回はかかる)残金を利息制限法に引き直した上で終了します。
    つまり、本人の手間が非常にかかるのです。

  2. 調停で決まった経過通りに返済できないと給与が差し押さえられる
    そして貸金業者との交渉が成立すると調停調書が作成されます。
    また、話し合いがつかない場合には、簡易裁判所が返済計画を策定して決定を下します。
    調停調書や決定書は判決と同じ効力がありますので、調停で決まった返済計画通りに返済が実行されないと、直ちに給与差し押さえなどの強制執行を受けてしまいます(ちなみに、任意整理では、和解契約通りの返済が実行できなくなっても、すぐに強制執行はされません)。

任意整理と特定調停との差

特定調停は、弁護士が任意整理をする場合と比較すると、弾力的な解決が図られないということも言えます。
つまり、早期の解決、時間やさまざまな条件を利用した駆け引きができないということです。

任意整理がある程度弁護士に任せておけるのに対して、特定調停は何度か自らが裁判所に出向いて交渉を行っていくので、仕事をきっちりしながら借金の整理を行うには、特定調停はあまり向いていないかもしれません。

また、裁判所を介した割には任意整理と同じ程度の減額しか得られません。
そして、おおむね3年以内に分割して完済できるような場合でないといけません。
大胆な借金の減額を得るならば、民事再生によるしかなく、任意整理と比べるとメリットが大きいわけではありません。

ですので、弁護士に依頼してまでする手続きではなく、自分だけで借金整理をするのが不安だという場合に選択する手続きということになります。

また、調停はあくまでも「話し合いによる互譲による解決」ですから、業者が受け入れられるような案でなければ成立しません。
過払い分の全額返還など、両者の対立点が厳しければ成立しません。

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