免責手続について知っておこう

免責の申立て

個人の自己破産の場合は、破産手続開始の申立てにより免責申立てをしたものとみなされます(破産の申立ての際に免責申立てをしない旨の申述をした場合は除く)。

つまり、破産手続開始の申立てとは別に免責の申立てをしなくても、破産手続開始の申立ての際に、免責の申立ても同時にしたことになります。

また、債務者が破産の申立時に債権者一覧表を提示すれば、免責手続で債権者名簿を再び提出する必要はありません。

免責の審理

裁判所は、必要に応じて破産管財人・破産債権者に対して免責についての意見申述を行わせます。
破産管財人や破産債権者は、免責の当否について裁判所に意見を述べる機会を与えれるわけです。

また、裁判所・破産管財人による免責についての調査もあります。
この調査は必ず行われるものではありません。
調査が行われ場合、破産者は調査に対する協力義務を負います。

裁判所によっては運用により審尋の期日を聞く場合がありますので、免責の申立てをする裁判所に確認してみてください。

免責が決定されたらどうなる

免責の決定は、免責決定が官報に掲載され、掲載された日の翌日から2週間以内または免責決定が送達され、これが破産者や債権者などに到達した日の翌日から1週間以内に、即時抗告がされないことによって確定します。
即時抗告とは、裁判の日から一定の期間内に提起することとされている上級裁判所への不服申立制度です。
免責の決定は免責の確定により効力が生じます。

免責の決定が確定すると、一定の免責されない債権を除き、債務の支払いを免れることができます。
なお、免責の決定が確定したことについての官報による公告などはありません。

免責の確定により、破産者は、一部の債務を除き、破産債権者に対する債務の支払義務がなくなります。
また、復権して破産者ではなくなり、公法上または私法上の資格制限(一定の職業・資格などに就けなくなること)から解放されます。

一度免責を受けると、原則として以後7年間は免責を受けられません。

免責手続き中の強制執行は禁止されている

強制執行とは、国家機関が権利者の権利内容を強制的に実現してくれる手続です。
たとえば、賃金の返還請求訴訟に勝訴した原告(債権者)が強制執行する場合には判決に基づいて裁判所や執行官などの執行機関が被告(債務者)の財産を差押え、競売にかけてお金に換え、それを原告に渡すしくみになります。

強制執行する場合には、まず、強制執行の根拠となる債務名義と呼ばれるものを手に入れなければなりません。
債務名義の代表的な例は訴訟による判決です。
そのほかにも、仮執行宣言つきの支払督促(簡易裁判所の裁判所書記官が債務者に支払を命じる行為)や執行認諾文言つきの公正証書(公証人の作成した文書で債務者が強制執行に服する旨を記載したもの)などが債務名義となります。

債権者が、①支払請求の訴訟を起こし、判決を得た場合や、②支払督促を申立てて仮執行宣言がつけられた場合、③執行認諾文言つきの公正証書を作成しているような場合には、債務名義に基づき、債権者が債務者の給料等を差し押さえてくる場合があります。

給料等については、所得税や社会保険料などを控除した後の金額の4分の3までについては差押えが法律上禁止されています。
ただ、所得税や保険料等の控除後の金額が44万円を超える場合は、一律に33万円について差押えが禁止されているだけで、残りはすべて差し押さえの対象となります。
たとえば、控除後の金額が50万円あれば、債務者に33万円を残して17万円を差し押さえることができます。

なお、免責許可の申立てがあり、破産手続きが同時廃止となった場合、免責が確定するまでの間、新たに破産者の財産を差し押さえることはできません。

免責されない債権
  1. 税金

  2. 破産者が悪意をもって行った不法行為に基づく損害賠償請求権

  3. 破産者が故意または重大な過失により人の生命・身体を侵害した場合の不法行為に基づく損害賠償権
    2に該当するものを除く

  4. 夫婦、親子など親族間の義務に関する債権
    夫婦間の協力・扶助義務、婚姻費用分担義務、子の監護義務、直径血族・兄弟姉妹の扶養義務などこれらの義務に類する義務であって、契約に基づくもの

  5. 雇用関係に基づいて生じた従業員の請求権(給与等)および預かり金の返還請求権

  6. 破産者がわかっていて債権者一覧表に記載しなかった請求権
    債権者が破産の決定があったことを知っていた場合を除く

  7. 罰金など