債権者の意見聴取と再生計画の不認可事由

債権者の異議は認められない

給与所得者等再生では、原則として、債務者の可処分所得の2年分を原資として返済を行うことになっています。
これまで見てきたように、この可処分所得の計算は、厳密に決められています。

可処分所得を算出するベースになるの年収のとらえ方や、年収から控除できる最低限の生活を維持するのに必要な費用などが明確に定められ、債務者が故意に数字を操作したりすることはできないしくみになっています。

このような厳密な規定によって、提出される再生計画案の妥当性を確保する反面、債権者の再生計画案に対する決議を省略して、小規模個人再生よりもさらに手続を簡素化しようとしているわけです。
あえていえば、債務者にとっては、最低限の生活の下で返済しなければならない金額が法律によって定められているのだから、債権者は文句をいってはならない、というわけです。

債権者の意見を聴くことはある

ただ、再生計画案を許可する前に、裁判所は、債権者の意見を聴いて参考にすることがあります。
ただし、ここで述べられる債権者の意見は、再生計画の不認可事由があるかないか、についての意見に限られます。
意見がある債権者は、不認可事由を具体的に指摘した意見書を、裁判所に提出しなければなりません。

この債権者の意見は、具体的に不認可事由を指摘しなければなりません。
単に、再生計画の認可には反対だ、という意見は、裁判所に取り上げられません。
悪質な金融業者などが、理由もなく再生計画の認可に反対することなどは十分に予想されますが、そのような反対は無視されます。

具体的な不認可事由を指摘した書面が、債権者から提出された場合には、債権者に対して、書面で指摘された不認可事由に関する証拠の提出が求められます。
この証拠が、再生計画を認可するかどうかの判断材料の一つにされる可能性はあります。

再生計画の不認可事由は

不認可事由には、小規模個人再生や、通常の民事再生と共通の不認可事由の他に、給与所得者等再生ならではの不認可事由もあります。

まず、①再生債務者が、給与又はこれに類する定期的な収入を得ている者に該当しないか、又はその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないとき、②計画弁済総額が可処分所得要件を満たさない、という事由があると再生計画は認可されません。

また、次のような事由も不認可事由となります。

③給与所得者等再生の申立ての日から過去7年以内(以下、単に「過去7年以内」とします)に給与所得者等再生の再生計画の認可決定が確定していること、④過去7年以内にハードシップ免責の決定が確定していること、⑤過去7年以内に破産法に基づく免責の決定が確定していること。