任意整理する場合の業者との交渉

任意整理の交渉は、債務者自身が行うのは困難な場合が多いでしょう。
債務整理を言い出そうものなら、「そんなこと言う前に、全額耳そろえて返せ」と業者に言われかねません。

また、身内が交渉しても、そこは相手はプロ、「借りたものを返すのが常識でしょう」などと言われて、業者のいいなりになって全額を支払う場合が多いようです。

一般的には借りている側に弱みがあるから仕方がないと思うかもしれませんが、実は業者側にも弱みがあるのです。
債権回収の鉄則に「無いものからは取れない」というものがあります。
返済能力が無いからといって、強制労働や売春などを強要することはできないですし、かといって債務者の身内に請求すれば貸金業法違反で処罰されかねないのです。
さらに、債務者に自己破産でもされたら、ほとんど回収不能となります。
このように、交渉の余地はあるのですから、交渉の方針を決めて、実情を話し、粘り強く交渉することです。

弁護士が任意整理を行う場合の原則

  1. 利息制限法に基づき債務を計算し直して、この金額を基に交渉する。
    業者は「みなし弁済規定」の適用を主張するが一切認めない。
    必要があれば、取引経過の開示を求める

  2. 期限の利益の損失(1回でも支払いが遅れたら全額を一括で返す)の主張や遅延損害金(現在、利息制限法による上限金利の1.46倍まで有効)の主張は一切認めない。

  3. 分割弁済においては、完済までの将来の利息は一切つけない。

  4. 利息制限法に基づき債務を計算し直した結果、過払いとなっているときは、必ず過払い金の返還を求め、場合によっては過払い金返還請求訴訟を起こす。

  5. 交渉過程で悪質な取立を行う業者に対しては、仮執行処分の申立、刑事告訴、取立禁止の仮処分、慰謝料請求訴訟の提起をおこなう。

任意整理は交渉事です。
「契約ではこうなっている」という主張が業者側から当然出てくることが予想されますが、一度決まったものを変えてはいけないというものではありません。
しかし、交渉事である以上、支払いが少なければ少ないほどいい、などといった主張では相手も納得はしてくれません。
方針を事前に決め、その線に沿って根気強く交渉することです。

なお、複数の業者から借金がある場合には、全部一度に任意整理することです。
一社でも納得せず、給料等の差押えがなされたりすると、一部の業者との任意整理の話がついていても、返済計画の実行が困難になるからです。

また、身内が全額返すとしたら業者にとってはお得意さん。
借金した当人は、その後も同じようなことを二度、三度と繰り返すケースもあります。

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